Cute Movies
男たちの名は、みなフランク。そのほとんどがサングラスをかけていて、
ただ1人フランクではなく ペッカ を名乗る男がいますが、
モノクロ映画でサングラスをかけられちゃったら、どれが誰やらさっぱり・・・??
?
16人は、希望溢れる理想郷=<エイラ>を目指して 腐った現実である故郷のスラム
街を発つわけです。
で、この16人の集団が <カラマリ・ユニオン>という名前で、意味は“イカ墨同盟”。
ストーリーと何の脈絡もない名前。
ある深夜 集合した16人は、地下鉄を乗っ取り、まず街の中心へ向かう、
はずだが そこで1人のフランクが銃に撃たれて没。
平気で見捨てる残り15人は、そこから先目指すエイラへのルートも手段もバラバラ。
エイラへの道はどうやら困難。
フランク達は街にとどまりながら、エイラへの道を探す。
女を口説くフランク、セラピーを受けるフランク、ホテルのドアマンになったフランクは
突然ギターを拾い上げ哀愁たっぷりに歌い出し、ビジネスマンになったフランクは
首をくくって死んでしまった。
故郷で誓いを立てた15人のフランク達は、今はもう3人しか残っていない。
やっとエイラにたどり着いたのは・・・・・!?
フランク達1人1人の出方が唐突で、前後の脈絡に関係ないシーンが次々に
湧いて出てくる演出だけど、決して難解なわけではなく、
「人はいつでも理想を求めているけど、現実は妥協の連続である」日常を思い起こさ
せるような映画じゃないかと思う。自分の現実と相俟って深刻になりそうなメッセージだ
けれど、そこはカウリスマキ監督、唐突なシーンの連続がテンポよく、スタイリッシュでカッコイイ!
でもって結構笑える演出で、あっという間の80分は「ドッカーン!」と爆音と共に終わってしまうのでした。
前後の脈絡なく、イキナリ始まるフランク総出演のロックバンド演奏と、
哀愁フランクのギター弾き語り、あんまりヘッポコすぎて、
しばらく名曲だとは気づかなかった「スタンド・バイ・ミー」と、音楽も楽しめます。
1957年生まれ フィンランド出身のアキ・カウリスマキ監督。
認知度は低いかもしれませんが 知る人ぞ知る監督で、既に1990年日本では
「レニングランド・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」
が公開されています。
1997年上映の「浮き雲」はかなりヒットしたので
そういえば・・・と思い出される方もいらっしゃるのでは?
2000年には来日。ワサビ・フリークの巨漢!との噂もあるカウリスマキ監督の作品は、
2/22まで 渋谷ユーロスペース(03-3461-0211) にて特集上映中です。
おもしろいから、いっぺん観てみてね!
text by... ris
2001/12/15